入れ歯は保険と自費で何が違う?それぞれのメリット・デメリットを解説
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失った歯を補うことができる入れ歯。ブリッジのように健康な歯を削る必要がなく、インプラントのように外科手術を必要としないため、気軽に受けられる補綴治療ですが、見た目や装着感に不満を感じる方も少なくありません。
そんな方には、自費診療の入れ歯という選択肢も用意されていることを知っておきましょう。
自費の入れ歯と保険の入れ歯には、いくつかの違いが見られ、治療に伴うメリットとデメリットが異なります。ここではそうした入れ歯治療における保険と自費の違いを詳しく解説します。
保険の入れ歯と自費の入れ歯のメリット・デメリット
保険適用の入れ歯
保険診療の入れ歯治療では、基本的に歯科用プラスチックのレジンしか使用できません。人工歯もプレート部分である床(しょう)もプラスチックであることから、経年的な劣化が起こりやすいだけでなく、強度も比較的弱くなっています。部分入れ歯の場合は、クラスプという金属製のフックが付随する点もデメリットといえるでしょう。
●メリット
- 費用が安い(1~3割負担)
- 壊れた時の修理がしやすい
- 治療期間が比較的短い
●デメリット
- 見た目が不自然になりやすい
- 装着時の違和感が比較的大きい
- 時間の経過とともに摩耗や変色が起こる
- 汚れや臭いの物質を吸着しやすい
- 食事の温度を感じにくい
- 部分入れ歯には金属製のクラスプが付随する
自費診療の入れ歯
自費診療では、入れ歯治療でレジン以外の材料も自由に使えます。装着感の良いやわらかい素材や、強度の高い金属材料なども活用できることから、快適で使い勝手の良い入れ歯を作ることができるのです。
●メリット
- 金属床の入れ歯は強度が高い
- クラスプのない部分入れ歯を作れる
- 装着感が良く、適合性の高い入れ歯に仕上げられる
- 見た目の美しさ、自然さを追求できる
●デメリット
- 全額自己負担となるため治療費が高くなる
- 特別な製作法の入れ歯では治療期間が長くなる
- 壊れた時の修理がしにくいことが多い
入れ歯の素材や機能面・審美性の違い
入れ歯治療は、保険と自費で機能面および審美面に大きな違いが見られます。
機能面の違い
保険診療の入れ歯は、食事や会話の時に装置がずれたり、外れたりすることが多いです。これは入れ歯の適合性が低いからなのですが、限られた時間と歯科用プラスチックしか使用できない保険診療では、その適合性を高めることが現実的に難しいのです。
一方、自費診療の入れ歯は、歯ぐきと接する部分にシリコーン材料を使ったり、プレートの部分を金属にすることで薄く作ったりすることができます。その結果、装着感や使用感が向上するだけでなく、噛んだりしゃべったりする時もずれることが少なくなるのです。
審美面の違い
保険診療では、部分入れ歯に金属製のクラスプが付随し、総入れ歯はプラスチックなので厚く、大きく作る必要があります。どちらも入れ歯の審美性を低下させる要因となるため、保険の入れ歯は見た目が良くない、という印象を持つ方が多いです。
自費診療の場合は、クラスプのない部分入れ歯や、厚みの少ない総入れ歯を作れるため、見た目も自然で美しく仕上げられます。
保険の入れ歯の種類と自費の入れ歯の種類
保険診療の入れ歯の種類
保険診療の入れ歯は、基本的に「レジン床義歯」のみです。人工歯と床がレジンで作られた入れ歯で、部分入れ歯の場合は金属製のクラスプが付随します。
自費診療の入れ歯の種類
●ノンクラスプデンチャー
金属製のクラスプがない部分入れ歯です。見た目が自然で美しく、残った歯や歯ぐきへの痛みも生じにくいです。
●シリコーン義歯
床の部分にシリコーンを使用した入れ歯です。シリコーンは柔軟性の高い材料なので、噛んだ時の圧力をバランスよく分散してくれます。使用感が良く、見た目も優れた入れ歯です。
●磁性アタッチメント義歯
磁石を使って口腔内に固定するタイプの入れ歯です。安定性が高く、外れにくいのが特長で、噛み心地も良好です。磁性アタッチメント義歯はその性質上、MRI検査を受ける時は、装置を取り外す必要があります。
●金属床義歯
プレートの部分を金属で作った入れ歯です。金属は熱伝導率が高く、食べ物の温度を感じやすいことから、プラスチックの入れ歯よりも食事を美味しくいただくことができます。
また、金属は強度が高く、プレートを薄く作ることができるので、入れ歯全体をコンパクトに製作できます。その結果、入れ歯の装着感・使用感・審美性が向上します。
まとめ
今回は、保険診療と自費診療の入れ歯の違いについて解説をしました。
保険診療では、比較的安い費用で入れ歯を作ることができますが、審美性や機能性、耐久性を追及することができません。そのため、見た目や噛み心地に不満を抱えながら毎日の生活を送っている方も少なくありません。
自費診療の場合は、さまざまな材料を使用できるだけでなく、製作方法の選択肢も多様なので、自分にぴったり合った入れ歯を作ることができます。ですから入れ歯=保険のレジン床義歯と考えるのではなく、自費の金属床義歯やノンクラスプデンチャーなども選択肢に入れると良いですね。
入れ歯は人工臓器とも言われる装置なので、機能性や審美性を追求することは患者様にとても極めて大きなメリットとなることでしょう。